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初期型BD-1をオーバーホール、レストアする第2回目は、レバーの引きが重いフロントブレーキ、ホイール、ハブなど、足回りを中心に分解、整備



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左右非対称のBD-1W

BD-1 オーバーホール
BD-1に限らずオーバーホール、レストアを短時間で終えるには、面倒なホイールから分解、整備していくのが最も効率の良い手順

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リアホイールを取り外す前にVブレーキを確認すると、何やらおかしな状態

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ブレーキレバーを握るとご覧の通りダストブーツが左右から強く挟まれ、ギュウギュウに縮まってしまいます

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BD-1 オーバーホール
(´・ω・)_/ ブレーキシュー付近をよく見ると、右側だけ薄いスペーサーが装着されていたのがダストブーツがギュウギュウに縮まっていた原因の1つ

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販売店の組み立てミス。 もしくは素人が分解、整備した可能性を疑いましたが、右側の薄いスペーサーを左側と同じ厚いスペーサーに交換するとダストブーツに少し余裕が生まれたものの、代わりに右ブレーキアームが外側に開いてしまいます。 これはFD(フロントディレイラー)を取り付けるためにスイングアーム右側がリム側にオフセットされた左右非対称に設計されているBD-1W特有の問題のため、初期状態の右側だけ薄いスペーサーをリム側に装着しているのは正しかったと判明。 BD-1Wのようなブログ情報の極めて少ない特殊な事情があるミニベロをいきなり分解してしまうと元の状態が分からず正しく戻せなくなる場合があるため、分解前にしっかりノーマル状態を把握しておきましょう(´・ω・`)


ホイール オーバーホール

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オーバーホールの手順としてはホイールの振れ取りがある関係でブレーキよりも先にホイールから作業する必要があるため、ダストブーツの問題は後回しにし、BD-1から汚れたホイールを取り外して分解、整備していきます

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タイヤの取り外しは通常であればタイヤレバーをこれほど近くに並べる事はありませんが、間隔を狭めて上手にやらないとタイヤレバーを折るほどタイヤとリムの隙間に余裕がなく、これでは間隔が狭すぎて取り外せないためタイヤレバーを加工します

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鋭くなっている両端を1本だけ丸く整え、右利きの人であれば右端にセットしてタイヤレバーを持ちながら押していく事でタイヤの内側を傷付ける事無く取り外しが完了

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後はスプロケ外し工具を使ってスプロケを取り外し、オーバーホール中に手が汚れたり、ハブに異物が入ってしまわないようホイール全体を洗浄していきます

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全体的に汚れていますが、リムで最も汚れているのはALEXRIMS DV15 18x1.50(355)のジョイント部分(接合部分)

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ホイールのリムの汚れ落としはHOZAN K-141 ラバー砥石(#120)を使用するのが自転車界の大定番

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リムテープをあらかじめ取り外しておき、風呂場でシャワーをかけながらリムを擦る事でピカピカが復活。 HOZAN K-141 ラバー砥石(#120)は汚れによるブレーキ鳴きの解消や錆び落とし。 深さの無い擦り傷程度であれば消す事も可能。 ついでに取り外したチューブとタイヤも水洗いしておきます

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濡れたホイールの水分をウエスで拭き取ったら、シャワーで濡れた直後で多少汚れが落ちやすくなっている事もあり、その湿ったウエスでハブ、スポークの汚れを拭き取ればパーツクリーナーやディグリーザーを使用しなくても大半の汚れはここまで拭き取れるのでとても経済的

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リアのハブは15mmのハブスパナとモンキーレンチを使用して分解し、ボールベアリングとグリスの状態をチェック後に玉当たり調整

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グリス切れの音や異音はしていませんでしたが、ハブの内部でグリスが偏ってベアリングにはあまり付着していなかったので、たっぷりとデュラグリスを充填。 本来は粘度の低いハブグリスを使用する所ですが、粘度の高いデュラグリスにチェーンオイルを加えて粘度を下げたものの方が経済的。 ハブグリスよりも少し軟らかめに調整する事で抵抗も若干減らせ、量と粘度が適正であれば相当長い期間偏る事は無いかもしれません

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BD-1Wに採用されているリアハブはSHIMANO DEORE FH-M510。 ラバータイプの防水カバーはほとんど抵抗になっていないタイプもありますが、DEORE FH-M510は防水カバーとの接触部分でやや抵抗があるため、内側の摩擦が発生している部分には先程と同じ粘度調整したデュラグリスを薄く塗っておきます

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ホイール全体のクリーニング。 ハブの分解、整備を終えたら最後にリムの振れ取りをすればホイールのオーバーホールは終了。 BD-1には軽量なDA16が採用されているモデルもありますが、初期型BD-1、BD-1Wに限らず多くのBD-1のリムはALEXRIMS DV15 18x1.50(355)。 振れ取りをする事でやっと分かりますが、最も汚れが酷かったリムのジョイント部分(接合部分)は精度が低く、0.1度程度? 「く」の字に曲がっていたためにブレーキシューが他より多く接触していたと考えられるのが汚れが酷かった原因と判明

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振れ取りを終えたらリアホイールをそのままBD-1に取り付け。 普通ならタイヤを装着してからの取り付けになりますが、ブレーキシューのトーイン調整が上から見えて細かい調整がしやすく結果としてオーバーホール作業が早く終わるので、この時点でのタイヤの取り付けは2度手間になるのが分かっていても我慢

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13mmのハブスパナを使用する以外はリアと同じ手順でフロントホイールも洗浄、分解、整備していきますが、SHIMANO DEORE HB-M510の防水カバーの取り付けだけが少々厄介。 普通にはめると驚愕の接触抵抗が発生して1回転もカラ回しできなくなってしまうため、ラバーを強く押し込まず、ほんの少しづつハブ側に接触するかしないか程度に慎重に押し込む繊細な作業が必要。 最初コツが分からず、設計者頭おかしいと絶望してしまいました ^^; フロントタイヤの取り外しはリアほど固くはなかったので、リアタイヤの取り外しがやたらと硬かったのはタイヤの個体差と判明。 パンクの9割以上はリア側で発生するため、パンク修理時に少しでもタイヤを取り外しやすくするためにフロントに装着されていたタイヤはリアにローテーション


Vブレーキ オーバーホール

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リアVブレーキのオーバーホールはバラバラに分解して汚れを落としたら、ブレーキシューの状態を確認。 初期型BD-1、BD-1WのブレーキシューはTEKTRO 824。 交換が必要になるほどの摩耗や金属片の問題はほとんど無かったのと、全く接触していない部分があるので左右のローテーションだけして組み立て

BD-1 オーバーホール
Vブレーキの取り付けは、取り付け台座にグリスアップするだけ。 ブレーキワイヤーはブレーキアウターケーブル内にシリコンスプレーを吹いてブレーキレバーの引きを軽くしておきます

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薄いスペーサーと右リアスイングアームのオフセットが原因でギュウギュウに縮まってしまうダストブーツの問題は試しに中央付近をカットして長さを調整

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BD-1Wには元々長すぎる気もしますが、短くした事でブレーキレバーを握った状態でもダストブーツがかなりマシな状態に改善


Vブレーキ トーイン調整

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Vブレーキアームとブレーキシューの交差角度は90度前後が理想とされていますが、BD-1のリアブレーキは折り畳み性能重視の設計上の欠陥で、45度前後とVブレーキが正常に機能する角度からは大きく外れています

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そのため、ブレーキシューの前方は左右から強くリムを挟む動きをするものの、Vブレーキ台座のボルトに近い後方はリムを挟む方向には動かず、しっかりトーイン調整をしてしまうと先端から2ブロック(50%程度)しかリムと接触できずストッピングパワーが弱まります。 ほぼフラットにトーイン調整すると何とか3ブロック目の75%程度まで接触しますが、4ブロック目の最後方は全く接触せずリムから浮いたまま。 この初期型BD-1の欠陥にはブレーキ鳴きが発生しにくいメリットはありますが、根本的な解決策がないのは困りもの


フロントブレーキワイヤー ブレーキアウターケーブル 交換

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リアのブレーキレバーの引きはそこそこ正常で、ブレーキワイヤーに引きが軽くなるシリコンスプレーを塗布した程度で済みましたが、フロントのブレーキレバーは非常に引きが重く、オーバーホール必須

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BD-1のフロントブレーキアウターケーブルは雨水が侵入しやすい出口が上向きのU字型。 重力と走行による振動では自然排出できないケーブルラインのため、ブレーキレバーの引きが重いのは侵入した雨水が底に溜まり、ブレーキワイヤーが錆びている中古BD-1あるあるの可能性が有力

BD-1 オーバーホール
ブレーキワイヤーを引き抜いてみると予想通りブレーキワイヤーに錆び。 ブレーキアウターケーブルだけなら再利用できるか試しに新品のブレーキワイヤーを入れてみましたが、ブレーキアウターケーブル内部にも錆びがこびりついているらしく、大きな抵抗を感じるため両方交換

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BD-1はハンドルポスト、サスペンションフォークが折れ曲がり、小さく折り畳んだまま長期間置かれる事もあるアウターケーブルに高い柔軟性が要求される折り畳み自転車(フォールディングミニベロ)。 下手なブレーキアウターケーブルに交換すると柔軟性が低いメーカーに当たる事もあるので、今回も柔軟性のあるJagwireのブレーキアウターケーブルに交換。 ついでに長さがギリギリ過ぎるブレーキアウターケーブルをブレーキレバーの引きが少しでも軽くなるよう5cmほど延長し、ブレーキレバーの引きが少しでも軽くなるようケーブルラインを若干緩やかにします

BD-1 オーバーホール
交換したブレーキアウターケーブルはサスペンションフォークにブレーキアウターケーブルを固定している名称不明のアウター受け(針金)? に通してからVブレーキへ。 中古の初期型BD-1では稀に紛失している事もあるのと、ペンチ2本で簡単に自作できそうだったので試作

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(´・ω・)_/ 素材は太めのクリップまたは針金。 カットして左上のBD-1オリジナルに近い形状に折り曲げれば簡単に自作可能(右上)。 取り付けてみても機能に問題無し。 現行モデルはBD-1からBirdyに代わり、アウターケーブルも内装が標準。 現在は取り扱いの無いパーツなので、中古の初期型BD-1を購入して最初から無かった場合は自作しましょう

BD-1 オーバーホール
フロントのブレーキレバーの引きが重い原因の1つはブレーキワイヤーの錆でしたが、2つ目の原因はVブレーキアームのテンションを決定するストッパーピンがフロントは何故か2番目に強くなる中央に差し込まれていた事。 これはテンションが最も弱くなる下の穴にストッパーピンを入れ替えるだけでブレーキレバーの引きは軽くなります

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オフセットされているリアほどではありませんが、フロントのダストブーツもやや長いので長さを調整。 中央を切断するのはあまり良い解決策ではなかったので、今度はフレキシブルガイドパイプ側を若干斜めに切断して長さを調整

BD-1 オーバーホール
こちらの方がダストブーツの長さ調整としてはスマートで、斜めに切断した切り口がジャストフィット(画像はブレーキレバーを握っていない状態)

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オーバーホールしてブレーキレバーの引きはリアと同程度に軽くなりましたが、下方向からブレーキワイヤーがVブレーキに繋がるBD-1はフレキシブルガイドパイプを装着しなければならないほど無茶苦茶なケーブルライン(本来は上方向から)。 そのため表面に何もコーティングされていない安いブレーキワイヤーでは表面のザラザラ、ゴリゴリ感が伝わってきます(リアは問題無し)。 最後にタイヤをローテーションして装着すればBD-1の足回りのオーバーホール、レストアは終了(´・ω・`)

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